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木にへばり着きながら鳴く僕は毎年人間共から五月蝿いと言われ続けている。僕の鳴き声は同じ音の繰り返しである。他の仲間も僕とは違う別の音の繰り返しである。でも人間共は僕達の声が同じように聞こえるらしいね。僕達だって一緒さ。僕達の耳には人間の声は皆が同じ音を出しているようにしか思えない。それに気付かない人間共は自分勝手だ。そして五月蝿いと言いながら僕達を変な籠の中に閉じ込めてしまうのは何故だい?そんなに早く死んでほしいのかい?一週間だけでも待ってはくれないのかい?息が出来ないよ。苦しいよ。狭いよ。逃げられないよ。泣きたいけど鳴けないよ。最期に見た君の笑顔。木にへばり着きながら見たかったな。その笑顔が醜く終わるなんて。 切ないよ。 2012.10.04.
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