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「もしもーし?誰ー?」
蘭の携帯が鳴ってることに気付いた樹は、ハイテンションのまま電話に出た。
そんな樹に対し、電話口からは落ち着いた声が聞こえた。
《こちらWAVEですが、》
相手が最後まで言い終わらないうちに蘭が樹に気付き、携帯に手を伸ばす。
樹は笑いながらそれをかわした。
「樹!!勝手に人の電話出んなよ!!」
「蘭うるせぇよ。なんも聞こえねえだろ!!」
言い争いを始めた二人に気付いたハルは精一杯の女声で色っぽく樹に抱きついた。
「そんなに焦っちゃって。樹、女ね?女なのね?」
《あの、蘭さんですよね?》
電話の相手の声に焦りと苛立ちが見え始めた。
「いや、ちげーや。男の声だよ?ハル」
「いつになったら蘭に女が出来るのかねー?」
困ったように眉をハの字にするハルに合わせて、樹も「ねー?」と肩をすくめて見せた。
そのすきに樹から携帯を奪った蘭は、二人に静かにするようにジェスチャーをすると電話に出た。
「お電話変わりました、俺が黒崎蘭です。」
《あ、蘭さんですか。私、WAVEの飯田と申しますが》
そこで一瞬きょとんとした蘭は次の瞬間、何があっても起きないと言われる寛貴が飛び起きる程の大きな声を上げた。
「WAVE?!大手音楽事務所のっ?!
は?なんで...
スカウトー?!?!」
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