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「「「「カンパーイ!!!」」」」
店の中に一際賑やかな乾杯が響いた。
「いやー、やっぱあたしの実力だよね」
テーブルに足を乗せ、不適に笑う樹。
「いやいや、俺の格好よさでしょ?」
樹の大胆にめくれたスカートと直すハル。
「CDばら撒いたのはよかったな」
爽やかに微笑みタバコに火を点ける蘭。
「俺のドラムもよか「うるせえよ寛貴」
ぶーっと頬を膨らます寛貴。
「デビューが近付いたねー」
BREAKは音楽業界最大手事務所のWAVEにスカウトされ、デビューは確実だった。
そのため、急遽反省会からお祝いパーティーに変更し、4人はいつにもまして楽しく呑んでいた。
「最高の誕生日プレゼントだよマジで!!」
ビールを豪快に呑みながら言う樹の言葉を聞いて固まるハル。
「え、お前誕生日今日だっけ?」
「ん?いや、明日だよ。つっても後30分くらいで明日になるけどね。
…さては忘れてたな?」
ニヤリと笑いながらハルの顔を覗き込む樹。
樹と目が合ったハルは、いきなり立ち上がると携帯をポケットにしまい、
「樹の誕生日は俺が一番に祝うんだからな!!お前等、フライングすんなよ?!
樹、30分以内に戻ってくる!!」
と叫び、店を出ていった。
「あいつ、今日バイクだろ?酔ってたけど大丈夫かよ。雪も降ってんのに」
蘭の心配をよそに、窓からバイクに慌てて跨るハルが見えた。
「あいつはいつも飲酒運転だよ。ほんっと危なっかしいよなー」
呆れたように呟く寛貴に樹は強気に言い放った。
「あいつは死んでも戻って来る。だってこの樹様の誕生日だし?」
しかし樹は、
たびたび襲ってくる嫌な胸騒ぎに不安を拭い切れずにいた。
(あたしはプレゼントなんかよりあんたに傍にいてほしいのに。)
その日、時刻が0時を回っても
ハルは帰って来なかった。
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