0人が本棚に入れています
本棚に追加
しかし、それでは何も変わらない。
目の前の現実から逃げた所で何も始まらない。
だから、彼女に言う。
返答が返ってこなくても、それでもいい。
「俺は逃げない。絶対に………」
涙を拭って、その先を言おうとする。
絶対に救ってみせる!
って。
それに…………
レオナだけじゃない。
黒く歪んでしまったのはレオナだけじゃないから………………
そこにいた人間全てが黒く歪んでしまったから…………………
その中には、二人を祝おうとした人ばかりで、
それは、親や兄弟、友人、知人であって。
しかし、キースには親、兄弟がいない為、来てくれたのは昔の仲間であったが。
いや、だからこそ。
やるしかないのだ。
キースがやるしかない。
もう一度、変わり果てたレオナと皆を見る。
そして、キースは背を向ける。
レオナに背を向けて、
「必ず救ってみせるから……だから……じゃあな」
彼女に言った。
悲哀した自分に強く希望を持たせるように、自分に言い聞かせ、逃げない自分を作りあげて歩き出す。
出口に向かって歩き出したキースは、扉を開くと同時に、
「必ず!!」
と、だけを言ってその場を後にした。
最初のコメントを投稿しよう!