出発の刻

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しかし、それでは何も変わらない。 目の前の現実から逃げた所で何も始まらない。 だから、彼女に言う。 返答が返ってこなくても、それでもいい。 「俺は逃げない。絶対に………」 涙を拭って、その先を言おうとする。 絶対に救ってみせる! って。 それに………… レオナだけじゃない。 黒く歪んでしまったのはレオナだけじゃないから……………… そこにいた人間全てが黒く歪んでしまったから………………… その中には、二人を祝おうとした人ばかりで、 それは、親や兄弟、友人、知人であって。 しかし、キースには親、兄弟がいない為、来てくれたのは昔の仲間であったが。 いや、だからこそ。 やるしかないのだ。 キースがやるしかない。 もう一度、変わり果てたレオナと皆を見る。 そして、キースは背を向ける。 レオナに背を向けて、 「必ず救ってみせるから……だから……じゃあな」 彼女に言った。 悲哀した自分に強く希望を持たせるように、自分に言い聞かせ、逃げない自分を作りあげて歩き出す。 出口に向かって歩き出したキースは、扉を開くと同時に、 「必ず!!」 と、だけを言ってその場を後にした。
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