出発の刻

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扉を開けた景色は、明るい日差しが照らす町。 まるで、館内の状態が嘘かのように、日が町全体を包み込む。 暖かく、心地が良いのは、暗い気持ちを晴らしてくれそうな。 「行くしかないな」 キースはため息を吐き、そう呟く。 誰もいない、自分しかいない空間。外に出ても、それは変わらなかった。 事件が発端で、町の人々は出歩かなくなった。 呪われる。呪われる。 と、誰もが口を揃える。 だから誰も近付かないし、外出もしない。 「呪われるか…………」 正式には違うが、あってなくはないと思った。 レオナと、僕等の為に来てくれた人々は呪われているようなものだから……… でもあれは違うのだ。 そんな簡単なものじゃない。 「あれは黒の儀式なのだから」
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