出発の刻

2/13
前へ
/18ページ
次へ
白い館内、窓ガラスを透した光が差し込む。 歩く度に音が鳴り、古くなった事が感じとれる。臭いも独特で、木の香りと埃の古臭さが異様に混じっていた。 左右には、木で作られた脚の低い椅子が並び、総勢の人が座れるようになっていた。 その左右の椅子との間には赤いシートが敷かれ、先には豪勢な金の椅子が置かれていた。そこに新郎新婦が座るのであった。 ここは、木造建ての式場会館で、とてもじゃないが壮大な結婚式が行われる事など、誰もが想像つかない。 それ程古臭く質素な建物であった。 そして、この町の人々は、誰もがここで式を挙げていた。誰もが笑顔で二人を迎え、質素ながらも温かい結婚式が挙行されていた。
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加