出発の刻

3/13
前へ
/18ページ
次へ
そんな挙式を先週に行おうとした一人の男性が、館内で立ち尽くしていた。 キース・ランデット 透明感のある金色の髪が爽やかに流れ、左右それぞれが外側に跳ねている。 異常に整ったそれぞれのパーツと白い美顔は、誰もが見とれてしまう程であった。 彼は美顔と同色の白スーツを着こなし、静かに彼女を見上げていた。 レオナ・ビーレル 彼の婚約者であるレオナは、今では人間とは程遠い形状でいた。 人の形をしている為、元は人であった事がわかる。しかし、焼け焦げたように黒い全身に、所々から排出している緑と黄色の混じった液体、それらが黒と歪み合ってグロテスクな形状となり、見れたものじゃなくなっていた。 腕や脚には黒い突起物が貫通し、全身には黒い糸が絡み付いていた。
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加