出発の刻

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キースは変わり果てた彼女を見つめて口を開く。 「君との歩みを忘れない。君と交わした言葉も忘れない。君との思い出は全て…………場所も時間も全て頭と心に焼き付けてある。苦しみも悲しみも…………全て俺が背負うから……………だから………」 涙で目が霞み、彼女がさらに歪んで見えて、そしてさらに涙が溢れる。 泣き過ぎたからなのか、彼女に言葉を放ち過ぎたからなのか………… キースの声は掠れて、もう出ないんじゃないのかという程で………… 苦しみや悲しみが溢れる。 もう駄目だ………… 死にたい…………… そんな感情はこの一週間、何度も何度も出てきた。 愛した人を失って、この先生きる意味はあるのかって………… なんで俺じゃなくて彼女がこんな目にあってんのかって………… それでもう駄目になっていたのだから……………
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