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「理由を聞きたいことが山々あると思いますが、一刻を争います」
しかし、少女は美菜にはふれないで、俺にだけ話をはじめた。
「第2波が来る可能性があります。早くコクピットに―――」
「待てよ!? こっちには鳴さ……ケガ人がたくさんいるんだぞ! 俺の事の前にまずそっちを先にやれよ! 助けてやれよ!」
そう、町の人が苦しんでいるのにどうしてこの子は俺を必要としているのか、未だに不明である。
「その心配はありません。ほら、救助隊が来てくれましたから……」
キャタピラーを装備した何台もの大型のトラックがもはや道路とは言えない道を難なく進んでいき、救助隊は倒れ込んでいるケガ人を収容していった。
「……」
「……美菜、鳴迫を頼むぞ」
「えっ! 要はどうするの?」
「この子は俺を必要としているんだ」
「そんなっ! 危険だよ! 要、逃げようよ! ね!?」
「行ってくれ! 早くっ!」
声を張り上げて美菜の意見を拒否する。
「わかったわよ……」
美菜はケガしている鳴迫と肩を組み、立ち上がらせた。
「くっ、蒼堂……」
「鳴迫……すまない……」
「要、必ず生きて帰ってきてね……」
救助隊が美菜の手助けをして、トラックの荷台に収容されるとトラックは移動を開始し、その場を後にした。
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