平和が壊された日

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 唯李はスラスターを遮断して零七を地面へと降り立たせた。 「とにかくふんばってくれよ!」  敵はライフルをこちらに合わせて発砲し続ける。弾丸はようやく機体に命中して零七のフレームに被弾した。 「なんだあいつ! まさか電力……切れか?」  ライフルを乱射する黒のBG。時折弾は機体を掠めるが、着実にフレームには負荷が溜まっていた。 「やられちゃう! まだ……!」 「……」 「蒼堂くん…?」  SRGが命中しない理由は2つある。  まず1つ目。これはクレー射撃ではないからという単純なこと。クレー射撃は自分より遠い的を撃ち落とすもの。その際自分は脚を動かさずスリスビータイプの的だけが宙を動き、それをわずかなタイミング、ズレを調整し撃ち落とすものだ。しかし、今は的となる敵は動いて攻撃を仕掛けている。攻撃を当たらないようにこちらも動かなきゃならない。だから正確な射撃ができずSRGは当たらない。  そしてもう1つの理由。機械を通して弾が発射されること。SRGは手元のレバーにあるトリガーを押すだけで発射される。だが自分が直接SRGのトリガーを押すのではなく機械を通して発射されるからそのわずかなタイムロスでズレが生じてしまう。  あくまで俺が見つけ出した理由だが、これを合わせれば……
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