篠村財閥

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7月22日 ――ベースキャンプ  テントの隙間からまばゆい光が差し込み、それが俺の顔に直射する。  元々は密閉状態で光は入り込まないが、所詮はシート。風が靡いた結果だ。 「朝……か」  上半身裸でスラックスだけを履いているだけのアメリカンな格好になっていた。  暑いというものもあるが、着替えがないというのが第一の理由だ。日中さんさんと照り輝く太陽の下、次なる攻撃に備えるために零七の調整と修理を長時間任され、シャツは汗まみれになってしまったからな。 「暑い……眠い……」  配られた布団も汗で濡れていて熱帯夜を物語っていた。  そのせいでなかなか寝つけなく、寝不足だということは明らかである。 「……まだ寝よ」  そう言って寝ぼけてる俺は布団へとまた寝転がる。仰向けになり、身体を大の字にした時だった。 ―――ぱふっ (ぱふっ?)  なにやらとても心地よい感触が手の甲に伝わり、起き上がって、それを目で確認をする。 「――ぬなっ!?」  ふくよかで手に収まりきれないほどの大きさの胸。  それは巨乳!  綺麗な美乳!  そこには美菜の姿が、しかも破廉恥極まりない水色と白色のしましま下着姿で寝ていた。 (えええぇっっっぉ!?)  どうして! なんで! 昨日は夜そのまま別のテントに入って行った筈なのに! 「んぁん……」  艶っぽい声を呟き、目が覚めてしまった美菜。  まずい! どうしよう!  Q.さて、問題です。俺、蒼堂要は今目の前にいる下着姿の幼なじみと目が合いました。この後どうすればいい? 1.今すぐ逃げる。 2.寝て現実逃避。 3.脱ッ! 童貞ッ! 4.そうだ。京都へ行こう。
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