1062人が本棚に入れています
本棚に追加
(にしてもつまんないなぁ……)
窓際の席なだけについつい外の様子を見てしまう。
今、俺がいる講義室は2階にあるので地上の景色がよく見える。プールには水泳部なのか、海パン姿の男子や小麦肌にくい込む青いワンピース水着を着た女子が夏の暑さを解消しようと楽しく水浴びをしていた。
「……」
「いいね、いいねぇ~夏の楽しみはやっぱりこれだね」
「な、鳴迫!?」
いつの間にか、俺の隣に悪友の鳴迫が顔を近づけてきた。
「ハハッ! 蒼堂もやっぱりスク水がいいんだな! このマニアめ!」
大声で、しかも全員に聞こえるような声で言いやがった。その声を聞いた周りの同級生がこちらを振り向く。
「ダァァッ! 違うっての!」
――と、次の瞬間だった。教壇から白い凶弾が俺達目掛けて飛んできたのだ。番条が投げたチョークは、お見事と言わざるおえなく、俺と鳴迫のおでこに命中した。
「貴様ら、いい度胸だな。私の授業を妨害するとは……夏休みに私の個人レッスンを受けたいか?」
「受けたくないです……」
「なら黙って話を聞けぇい!」
番条が張り上げる怒鳴り声で寝てた人が一斉に起き上がった。
「まったくもぉ……あの2人は」
本当、いい迷惑だ。鳴迫に関わると昔から悲惨な目に遭遇することばかりだったな。
でも、鳴迫は俺の大切な仲間だ。小さな頃から互いを信じ、助け合いながら生きてきた数少ない昔からの親友なのだから。
最初のコメントを投稿しよう!