篠村財閥

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「要……?」  《3》という勇ましく、いやらしい選択肢にアイコンを置いた時だった。美菜が目を擦り、ひとつ、欠伸をかいた。  黙り込んでしまう俺。美菜は『どうして私の所にいるの?』という不可解な顔をして見ている。やがて周囲を確認していき、目線を下にして自分の身体を見た。  無論、そこに映るものは紛れもない自分の下着姿。 「…い……い……」 「いやいやいや! 美菜! ちょっと待て! 決して俺は《3》を選ぼうとしては――」 「いやあああぁぁぁぁぁ! 」 「ギァァァァァッッス!」 ――ようやく落ち着いた美菜はここが自分のテントではないことを理解した。 「――つまり美菜は昨日の夜に水飲みに行ったあと間違って俺のテントに入ってきたということだな」 「ごめん……なさい」  身体はボロクソになっていて鼻血まで出ている俺に対して毛布にくるまった美菜は深々と謝る。 「ま、まぁ俺も悪いと思ってる。美菜の……あぁ、見てしまったから」 「あ……」  幼い時にはみんなして風呂とかで遊んでいたりしてある意味、裸の付き合いをしていて見慣れていたのだけれど発育した姿をこの目で拝んだことはさっきので初めてだ。 (………)  だけど何故……だろう。こう、胸が締め付けられるこの気持ち。目の前の友達に対してか? まさか、有り得ない。きっとあれだ。さっき下着姿をみたからだ。そうに違いない。 「蒼堂さんっ!」 「うひおぁ!」  テントの入り口から唯李が顔を出した。いきなりだったのでつい裏声で驚く。 「なななんだ唯李」 「たった今、国から指示が出ました。防衛線(ラストテリトリー)に集合しろという命令が!」 「ラスト……テリトリー」 「そうです! なので早く準備を――を?」  視界に入ったのか、唯李は毛布の美菜の方をまじまじを見つめ始める。次に交互に俺と美菜を見て、何を理解したのか手のひらにポンッと拳で叩いた。 「あぁ、最中でしたか? 朝から精がでますこと」 「んなわけないだろっっ!」
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