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「あ……あぁ…」
あってはならない光景がそこにあった。
町は燃えて、人や動物達が我先にと逃げていくが瓦礫の下敷きとなったり炎に包まれていく地獄絵図。あの鉄の巨人から逃れる為に、それらを見て、俺はただただ呆然とその様を見ていた。
「おいっ蒼堂!!」
呆然とする俺を揺さぶり、我に返らせたのは鳴迫。
「なる……迫?」
「何をボケッとしてる! 早く行くぞ!」
廊下では美菜が俺と鳴迫のことを待っていたが今にも泣きそうで少しばかり怯えている。
「行くっ……て……何処にだよ……?」
「逃げるんだよ! あのデカブツがこっちに来ない前に!!」
鳴迫に手を引っ張られていき、講義室を後にした。
――防衛庁
「菅田長官! 茨城、福島、千葉と太平洋に面した県が攻撃されています! それと九州と新潟も同時刻で……!」
「やはり攻撃を仕掛けてきたか……奴等め!」
現地のリサーチャーから送られてくる懺悔に部下は動揺を隠せない様子だが、防衛庁の長である菅田はあたかも知っていたという表情をしており周囲とは温度差があるように冷静になっていた。
「な、奴等とは?」
「大日本帝国軍……古き日本の亡霊…存在していたのだよ」
「亡霊……」
「こうなっては仕方がない。奴等はあれを投入している」
机の隅に置いている電話から受話器を取り出す。
「長官…?」
「財閥に連絡する。目には目。歯には歯。BGにはBGで対抗しないと……!」
――天地町
王都町の隣町であるこの町にもあの巨人が侵攻していた。無差別に街を破壊し、俺達力無き人々を恐怖のどん底へと突き落としていく。
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