平和が壊された日

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 1体だけではなかった。他の所でも俺達を護ってくれた同じ巨人がさっきまであらゆるものを壊していた黒の巨人共を壊していくのがわかった。 「……これって」  青い巨人、赤の巨人、そしてあの白い巨人。たった3機でさっきまでの地獄を打ち消した事がまるで嘘のようだった。  周りの建物や黒の巨人が燃え盛り、全てを破壊しようとする存在は既にここには無くなっていた。かろうじてその場を生き残った俺達や町の人達は何かに絶望していたのかもしれない。  日本は2度と戦争をしないはずなのに、起きなかったことが起きて、どうしてこんなことに。と、疑心暗鬼を浮かべながら絶望しただろう。俺もその中の1人だ。 「君っ!」 「……?」  どこかから声が聞こえる。辺りを380度見回しても声の主は見つからない。 「ここだよ! うーえ!」  黒い煙が立ちこめる空を見上げる。すると、白い巨人の手の上に人が立っていて右手を大振りしていたのがわかった。 「女の……子?」  見覚えのある姿だとおもったら、あの時、講義室から見えたあの桃色の髪の少女だった。巨人は機械音を鳴らしながらゆっくりと腰を落としていき、膝を地面につける。巨人の手が地面に近づくと少女はそこから降り、俺達のもとと近づいてきた。 「初めまして、蒼堂 要くん。初対面で急なのですが君の力が必要となりました」 「はい?」  どうしてこの子は俺の名前を? その理由と聞こうと口を開いた瞬間、美菜が先に発声をする。 「ちょっ、一体何なのよあなた!」  少女に激しく詰め寄ろうとする美菜を止めようと肩を掴んで足を止させる俺。
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