0人が本棚に入れています
本棚に追加
「…その本。君は魔法について学びたいのか?」
少年はそれに頷いた
「私は今、学校を経営している。孤児だけの学校だ」
私はベッドに放り出されている本を手に取り、表紙を見た。これは七歳向けの教本だ。反射的に顔を上げると、びっくりした様子の少年がいた
「孤児だけの…学校?」
「そうだ。残念ながら教師は孤児で無い者もいるが、生徒は皆孤児だ。四歳から十二歳まで、魔法について学ぶのだ。
ところで、君はこの本の前に何を読んだ?」
「えっと……『属性についての考察、七十二』。七十二回目の付けたしがあった、当時の最新刊を買って貰った」
いよいよ私の背筋がぞくりとした。確かにこの少年は直接会うべきだ
「ちなみに…君の属性は?」
「【雷】と【無】」
……そうか。これがこの少年の魅力の元か…。私は一人で納得した
「もう七歳用の本を半分読んでいる位だ。君は今五歳だが、本当に特別に、七歳のクラスに入れよう」
私はふっと立ち上がった
「君に、入学する意志があるならば…な」
「ある!」
座っていた丸椅子を倒し、勢い良く少年は立ち上がった
「只の可哀想な孤児はいやだ!」
私は思わずにやりとした
「よし…では、さっそく学校に行こう。必要な手続きは後でするとしよう…」
私は少年と手を繋ぎ、部屋の外へと向かった。その時、不意にある疑問が浮かんだ
コノコハダレノコ?
本能的に浮かび上がってくるその八文字を、私は学校に着くまで、拭いされなかった……
最初のコメントを投稿しよう!