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青視点。
20XX年、春、東京――
「偕くん!ネクタイずれてる!」
「ん、ありがと、よーくん」
「いえいえ、ほら、行ってらっしゃい」
「はーい、いってきまーす」
なんとか推薦で合格した電車で20分先の美術系大学の入学式当日。
慣れないスーツに身を包んだおれは、"弟"であるよーくんに見送られながら、そんな人生の新しいスタートの日を迎えていた。
ちなみにまたまたおれの弟であるまおは、去年高校にぎりぎり合格して、今はバスケ部に入って忙しそう。
毎日勉強して、進学校に通ってるよーくんとは、大違い。
かずは高校なんてどうでもいーとか言ってたけど、今年、単位制の進学校に余裕で合格した。
しゅんくんは定時制?で、卒業したら専門学校に行きたいって言ってた、気がする。
親父は、おれが高1んときに転きんが決まって、「偕!あとはお前に任せたぜ!」とか言って、あの人と一緒に福岡に行っちまっているまんまだ。
あ、ちなみにおれこんなんでも一応長男。
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