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あの人とは、親父の再婚相手のこと。
産みの親を知っているおれは、どうしても、再婚相手のことを"お母さん"と呼ぶことが出来ないでいる。
我ながら、よくないことだとは思ってる。
産みの親、おれの、本当のお母さんはもう、死んじゃっててこの世にはいねえんだけどな。
それなのに、やっぱり、呼べない。
いや、本当のこと言うと、呼ぶ気すらねえけど。
ふと、よーくんに直してもらったネクタイを、電車の窓を鏡にして見る。
よーくんはしっかり者で、ちょっと抜けてるとこもあるけど、すごく頼りになる、いいやつ。
でも、どうしてもおれは、そんなよーくんに対しても、壁を作ってしまっているんだ。
それはしゅんくんも一緒。
どうしても、どうしても、かずやまおみたいに呼び捨てで呼ぶことができない。どこか他人行儀になってしまう。
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