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お疲れ様、と更に鮮やかな笑顔を残した篠崎がその場を去ってからも、二人はその場を動けずにいた。
「なぁ、あの人って…確か30歳越えてるよな?」
紹介された時には自分より3期先の第二内科の医局員だと言っていた。
留学が2年。
どう見積もっても30歳以下である筈がない。
それであの可愛さは何だ?
――――可愛い?!
俺、変かも…
麻倉は自分の考えに空恐ろしいものを感じて、大きく首を振って否定する。
「なんか…篠崎先生の彼女が羨ましい…」
若い女性の顔に戻った看護師が漏らした実感の篭った呟きは、暗くなった検査室の闇に消えた。
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