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「彼女に電話、ね…」
くすくすと篠崎はいましがた掛けられた言葉を思い出して笑う。
篠崎に恋人がいるのは周知の事実だが、それが誰であるかは明かしていない。
その質問に答えるつもりも勿論ない。
クリスマスパーティーで予約が埋まり、恐ろしく忙しいスケジュールを余儀なくされた宴会部門に、人手不足で駆り出されたと苦笑していた恋人の顔が浮かぶ。
篠崎だってこうして当直勤務をこなし、今夜はゆっくり家にいられる身分でもない。
「今頃は忙しい時間だろうな」
立ち止まり見上げた時計の時間を確認した彼は、ふっと目許を緩めた。
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