(2)運命のステアリング

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「お前にもそろそろ車が必要だな…」 親父が突然ユウスケに向かって言った。 しかし、ユウスケの反応は 「ん…そうだね」 と冷めたものであった。 ユウスケにとっては車は別に動けばそれでいい存在であった。おまけにまだ夏美との一件を引きずっていたユウスケにとっては車はあまり首を突っ込みたくない世界であった。 「お前嬉しくないのか?まぁまだ先になるだろうし、ボチボチ欲しい車の目処だけは立てておけや」 親父そう言うとユウスケの部屋を後にした。 「自分の車…かぁ…」 ユウスケはゲームをやめてソファに寝転んだ。 欲しい車なんて正直ユウスケにはなかった。 これと言ったこだわりもない。 ただ…なんとなく、漠然とだが気になっている車があった。 大学一年の頃、仲の良かったツレにバカが付く程の車好きがいた。 そいつが好きだと言っていたのがスポーツカーだった。 雑誌を一度見てもらったのだが、大きなウィングに引き締まったボディライン、大きなタイヤ…たしかにスポーツカーという車はカッコよくて魅力的だった。 「スポーツカー…かぁ」 気付けばユウスケはパソコンに向かっていた。 車を買うとすれば、親父と仲のいい知り合いがいる地元の中古車屋になるはずだった。 その店のホームページを覗いてみたくなったのだ。 頭の中のイメージだけを頼りにスポーツカーを探す。 ところが、ユウスケはスポーツカーではなく、一台の車に目を奪われていた。 「この車…」 その車は2ドアクーペ…いわゆるスポーツカーではなくて、4ドアのセダンであった。 白色の車体に他の車にはない強烈なオーラを放つ顔つき…一度見たら忘れられない程インパクトある車だった。 メーカーはMITSUBISHI、名前はギャラン 24Vientoであった。 夏美との別れ依頼、何にも反応しなかったユウスケの心が久々に揺さぶられた瞬間だった。 「ギャラン…かぁ…なんかすげぇ車だな…この車…なんかわかんないけどいい車だな…」
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