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その日から1週間、ユウスケは夢見心地の気分であった。
つい数日前まで車に絶望していたユウスケが、今では毎日ギャランのことを考えていた。
これから始まるギャランとの生活…想像するだけで武者震いが止まらなかった。
納車までの1週間がユウスケにとっては果てしなく長かった。
しかし、一日一日と迫るギャランとの再会の日までをカウントする日々が、たまらなく幸せに思えた。
そしてついに迎えたギャランとの再会の日…。
ユウスケは緊張しながら家路を急いだ。
ワゴンRが家の駐車場に入る。
ワゴンRを停め左側を向くと…
パールホワイトのボディを満天の星空と月明りが照らし、美しいとでも表現できそうなオーラを放つギャランの姿があった。
言葉が出ない…。
ギャランから目を離さず、ゆっくりと近付く。
そっと、トランクについたリアスポイラーに触れる。
ヒンヤリとした、感触が伝わり、ユウスケの目に涙が浮かんだ。
この涙は喜びなのか感動なのか…それはわからなかったが、ユウスケにとっては久々の涙となった。
「ギャラン、ようこそ我が家へ…。よろしく頼むぞ。」
力強く呟くとユウスケは親父の元に駆け出した。
「今からテスト走行だ!親父~行くぞ~!」
この瞬間から、ギャランとの絆がユウスケの人生を大きく変えることとなる。
……………………
「まぁ、そんなわけだよ」
この話をタカに始めて30分が経った。
ユウスケは3本目のタバコに火を着けた。
「深いっすねぇ…。なんか本にできそうな話じゃないですか」
タカは案外真剣な顔をして言った。
「悪くないかもなぁそれ。そのうち本にして印税たっぷりとって大金持ちになるよ」
二人は笑った。
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