(2)運命のステアリング

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その日から1週間、ユウスケは夢見心地の気分であった。 つい数日前まで車に絶望していたユウスケが、今では毎日ギャランのことを考えていた。 これから始まるギャランとの生活…想像するだけで武者震いが止まらなかった。 納車までの1週間がユウスケにとっては果てしなく長かった。 しかし、一日一日と迫るギャランとの再会の日までをカウントする日々が、たまらなく幸せに思えた。 そしてついに迎えたギャランとの再会の日…。 ユウスケは緊張しながら家路を急いだ。 ワゴンRが家の駐車場に入る。 ワゴンRを停め左側を向くと… パールホワイトのボディを満天の星空と月明りが照らし、美しいとでも表現できそうなオーラを放つギャランの姿があった。 言葉が出ない…。 ギャランから目を離さず、ゆっくりと近付く。 そっと、トランクについたリアスポイラーに触れる。 ヒンヤリとした、感触が伝わり、ユウスケの目に涙が浮かんだ。 この涙は喜びなのか感動なのか…それはわからなかったが、ユウスケにとっては久々の涙となった。 「ギャラン、ようこそ我が家へ…。よろしく頼むぞ。」 力強く呟くとユウスケは親父の元に駆け出した。 「今からテスト走行だ!親父~行くぞ~!」 この瞬間から、ギャランとの絆がユウスケの人生を大きく変えることとなる。 …………………… 「まぁ、そんなわけだよ」 この話をタカに始めて30分が経った。 ユウスケは3本目のタバコに火を着けた。 「深いっすねぇ…。なんか本にできそうな話じゃないですか」 タカは案外真剣な顔をして言った。 「悪くないかもなぁそれ。そのうち本にして印税たっぷりとって大金持ちになるよ」 二人は笑った。
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