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ズギャッ!!ズギャギャギャ!!
ボゥ~ッ!!ボゥ~~~~ッ!!
愛知県T市 神王山…
夜の峠に激しいスキール音とエキゾーストノートが鳴り響く。
ここはいわゆる「走り屋」達が集まる山だ。
走り屋と呼ばれる連中はドリフトかグリップどちらかのスタイルで山をいかに速くいかに楽しく走れるかを追求している連中のことだ。
当然これは立派な違法行為。警察にパクられるだけならまだしも、一般車を巻込んだ死亡事故も珍しくはなく、世間からは暴走族と同じ扱いを受け忌み嫌われる存在だ。
そんな走り屋達が集合場所に使うのが神王山第三駐車場だ。
そこに、一人の若い男が立っていた。
その男の前には白色の4ドアセダンが停まっている。
彼の名前はユウスケ…この物語りの主人公だ。
ユウスケはタバコをふかしながら、彼の相棒…白色のEC3A型ギャランをぼーっと眺めていた。
ボゥッ!!ボゥッ!!ボゥ~~~~!!
するとそこへ、腹に響く独特な重低音を響かせながら白色のFD3S型RX―7が駐車場に入ってきた。
「きたかぁ」
のんびりした口調でユウスケは呟くと、FDへと近付いた。
と同時にFDの運転席からドライバー…タカが降りて来た。
タカは降りるなり
「ユウスケさんぼーっと突っ立って何やってたんすかぁ?あっ、もしかしてギャランとお話し中だったとか~?」
とユウスケをちゃかし始めた。
しかし、ユウスケはそれを気にもせず
「まぁそんなとこだよ」
と、またのんびりした口調で返した。
ユウスケとタカはこの神王山を本拠地とする走り屋チーム「神王 月下乱舞」に所属している。
今日は月下乱舞のミーティングのために集まったのだ。
だが、ユウスケとタカ以外のメンバーはまだ来ていない。
「ユウスケさん、他のヤツらまだ来ないみたいだし、久々にバトルしてみませんか?」
タカはユウスケがバトルに応じないことをわかっていながら、冗談半分で話を持ち掛けた。
「ヴァカちん。おれは走り屋じゃないんだから、走り屋のお前とは走らないの」
ユウスケは予想通りのんびりとした口調で否定した。
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