TELL ME

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…パチン! あたしが指を弾くと、山田は目覚めた。 「ん。…んん。あ…アリスさん。 …て事は、もしかしてここが?」 「えぇ。ここが貴方のラビリンシアです」 すると山田は、今どき小学生でもやらないであろうと思われる暴挙に出た。 …ムギュッ。 「…痛っ! …あれぇ?アリスさん、なんでほっぺた痛いんですかぁ?」 ……アホか(笑) つか、強くつねり過ぎ。…ほっぺた赤いし。 …さてと、そろそろスイッチ切り換えよっかな。 「契約成立したし、営業モードは止めるよ。 いい!山田!! ラビリンシアは夢じゃない、心の中に閉じ込められた空間なの。 そこにあたしとあんた、ふたりが【実体】としてトリップして来た訳。 だから、痛みを始めとする【五感】や…【死】すらも反映するのよ。 遠足気分じゃ困るの!! もっと、腹くくって頂戴!!!」 …あたしが言い放つと、山田は沈黙した。 ……言い過ぎたかな。 でも、この位ショック与えとかなきゃね。 もうちょい緊張感欲しいし。 そんな事を思っていると、山田が口を開いた。 「アリスさん…僕は間違って無かった! 原作通りの方ですね…」 …そこかよ。 「ま・いいわ。 安心して…今回のトリップで、絶対あんたを修正してみせるわ!」 あたしの中に【アリス】としての仕事に対する使命感と、【女】としての意地とプライドが、湧き上がって来るのを感じていた。
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