44人が本棚に入れています
本棚に追加
桐子は玄関を開けた。
「おばあちゃん。ただいまぁ」
奥からパタパタとスリッパの音が聞こえてくる。
「桐子おかえり。あら?お客さん?」
「うん。高橋蒼太さん」
「こんばんは。いきなりすみません。高橋蒼太といいます。桐子さんとはお付き合いさせてもらってます」
お付き合いと聞いて桐子はドキッとした。寄りを戻したことでいいんだよね?
胸に暖かいものが広がる。
「まぁまぁ。桐子そんなこと言ってなかったじゃないの」
と、言ってからおばあちゃんは私の肩をバシッと叩いた。
「おばあちゃん。痛いって」
「あらごめんね。でも嬉しくって。蒼太さんどうぞあがってちょうだい」
「あっ、はい。おじゃまします」
居間に通され、蒼太は桐子の祖父と話しこんでいた。
なんだかんだで誰とでもすぐ話せるのが彼のいいところなのかな。
桐子は祖父と蒼太が話しているのを見ながらお茶とお菓子を運んできた。
「何の話しで盛り上がってるの?」
「田んぼだよ」
「えっ?米?」
「そうそう。一回田植えとかやってみたかったんだよなぁ」
「そうなの?」
「良かったら5月の末ころこれたらきたらいい」
祖父がなんか嬉しそうだ。
「いいんですか?休みもらえるかなぁ。そんときは桐子も一緒にこようぜ」
「うん。そういえば今日どこか泊まるとこあるの?」
「…あっ…探してなかったな」
「そんなら泊まればいい。布団ならたくさんある」
「なんなら桐子と一緒に寝たらいいのよ」
ふと見たらおばあちゃんが顔だして、若いっていいわぁと言いながら布団を運んでいたので私は手伝ってくると蒼太に言い祖母の後を追った。
最初のコメントを投稿しよう!