第1章

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予定では仕事を終えてからしばらくは祖父母の家にいるつもりだったが、せっかく迎えにきてくれる人もいるんだし一緒に帰りなさいと言われた。 確かにせっかく来てくれたのに1人で返すのも可哀想だ。 私が仕事している間に蒼太さんが荷物をまとめてくれると言ってくれた。 あまりにも早く帰ることになり祖父母に申し訳ない気持ちでいっぱいだったが、田植えの時期にまたおいでと暖かい言葉をもらい、今日の夕方には観光しながら帰ることにした。 朝食の片付けを手伝い桐子は仕事へ向かった。 蒼太さんに行ってらっしゃいと言ってもらい、幸せいっぱいのまま車のセルを回した。 育児休暇明けの人はスラッとした色白の綺麗な人だった。 子供を産んだようには見えないお腹に釘付けになってしまった。 引き続きといっても特にすることもなく、館長さんと話しをして終わった。 とても親身になってくれて楽しい仕事ができたのは全て館長さんのおかげだ。 田植えのときにまた来ますと話し深々と頭を下げ挨拶をした。 図書館を出てまわりを見渡した。 まだ沢山雪が残っている。東北は春といってもまだまだ寒い。 桜も4月の中旬くらいから咲き始める。桜咲いてから帰るつもりだったけど…。 蒼太さんが迎えに来てくれるなんて― ここに来た時は思いもしなかったな― 祖父母の家で荷造りしてくれているはずの蒼太さんのところへまっすぐ帰った。
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