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「いつまで寝てんだクソアニキ」
どうやら先程の怒号の正体は妹の凛のようだ。
寝起き早々に妹から悪態を突かれた深月は怪訝そうな表情を浮かべる。
「朝飯。まだ?」
「寝起きの俺に作れと? てめえで作れ」
「なるほど、ご自分の立場を分かっていないようだ」
ははーん、とニヤケ顔をした凛がそう言うと、後ろ手に回していた手を胸の辺りまで持ってくる。
手に握られていたのはいかにもピンク色が強めの本だった。
「な、んなななな何故お前がそんな物を」
「今時ベッドの下とは……懐が甘いですなぁ」
「作ります。是非朝食を作らせてください」
先程の強気な態度から一転、謙ったその姿からは兄の威厳など感じようも無かった。妹モノで無かったのが唯一の救いだろうか。
わかればいいのよ、と満足そうに凛が部屋を出ていく。土下座した深月と無造作に投げ捨てられたピンク本だけがその存在を誇示していた。
涙目になった眼を拭いながら深月は重い腰を上げる。
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