プロローグ

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 彼女は校舎の屋上へ登って来た。二年前、初めて登った時からここが気に入っていたのだ。  普段見上げている建物のてっぺんにたっているという幼い喜び。ありのような人間達を見下ろす優越感。  そんなものを得るため今日まで何度となくここを訪れたが、それも今日で最後にするつもりだった。  どうせ死ぬなら、最後にあのお気に入りの場所で、お気に入りの風景を見ながら死のうと思ったのだ。  彼女はためらいも無く金網によじ登り、フェンスの外側に出た。制服のスカートが揺れている。  下から覗かれたら中が丸見えだな。 そんな考えが、ぼんやり頭に浮かんだ。  彼女は深く息を吐き、そのまま彼女の手は余りにもあっさりとフェンスを離れる。  その瞬間、彼女が口にした誰かの名が風にのると共に、その足が屋上を蹴った。
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