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「いや、その…悪かったよ。」
とにかく謝罪。
「好かれてるねぇ。眸くん。」
お姉さんが言う
煽られてるのか…?
そういえば名前を教えてもらってないな。
「兄として好きですがそれ以上はありえません。」
そんなにキッパリ言うなよ。
別に琴奈のこと好きじゃないからショックとかそんなものは感じないが、もう少し別の言い方は無かったのか…?
雑に扉を開け、お姉さんが玄関に入った。
「ただいま~。」
その声に遅れて僕と琴奈が言う。
「「お邪魔します。」」
「そんな固い言い方するなよー。今日から寮生なんだし、もうここは自分の家だと思ってくれればいいからさ。」
そんなこと言われてもいきなりはちょっと。
「いらっしゃい黄昏寮へ。上がって上がって。」
言われるがままに動く。
中も古いな。
でもちゃんと手入れがしてあって綺麗だ。
何というか凄く落ち着く。
玄関を上がり廊下を歩くと各個人部屋の入口扉が6つある。
6部屋か。
廊下を辿って行くと最後に行き着いたのは食堂だ。
そこには夕飯を作っている女性の姿があった。
「梓ちゃん、頼まれた物買ってきたぞー。」
お姉さんが先程からぶら下げていた買い物袋を食卓であろう場所に置く。
夕飯を作っている女性は梓って言うのか。
「ありがとうございます。」
買い物袋の中身を見る梓さん。
僕達に気づいていないみたいだ。
「またお酒買ってきたんですか。身体に悪いですよ。」
「年寄りの幸せを取るものじゃないぞ!」
「言うほど年をとっていませんよ、まったく。」
お姉さんは笑っている。
その手には既にお酒を手にしている。
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