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「あら?」 梓さんが僕達に気がついた。 珍しい物でも見るかのようにこちらに目を向ける。 「西子さん、こちらの方は…?」 西子…お姉さんの名前か。 「今日来るって言ってた新しい寮生だ。久瀬眸くんと久瀬琴奈ちゃん。」 「宜しくお願いします。」 そう言って琴奈は頭を下ろす。 僕は軽く会釈した。 「久瀬ってあの有名な久瀬家の方なんですかっ!?」 感づかれた~。 久瀬家だから手厚い歓迎とか困るんだよね。 僕も琴奈も苦手なんだよな。 今後接しにくいんだよ。 「あの久瀬家の方だろ。」 僕達が答える前に西子さんが言う。 まるで断言しているかのようだ。 「いつから――いつから気がついていたんですか。」 久瀬なんて苗字、世界に一つって訳じゃないだろ。 何か気味悪いんだよ。 断言してるように言われると。 「女の勘だよ。」 ……………え? 漠然とする僕だった。 「冗談だって、冗談。そんな顔するなよー。」 爆笑する西子さん。 申し訳無さそうな顔をしる梓さん。 「実はな、この寮の敷地内には魔法の結界みたいな物がしてある。だから知らない奴が入ってこれば直ぐ分かるんだよ。」 魔法の結界なんて誰も出来ていないはず。 そんなもの信じられない。 「じゃあ反応があったから走って僕達がいる場所まで来たんですか?」 「その時には近くにいたからな、走ってはいないよ。」 「結界なんて信じられない。僕は目で見たものしか信じない。」 「気にしないで下さい。兄さんはいつもこうなんで。信用性ないというか、なんだかな…。」 うるさい。 お前はぶっちゃけ結界魔法を教えてもらいたい気持ちでいっぱいなんだろ。
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