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幻想は満月の夜に
むかーしむかし、まだまだ武士が髷を結っていた頃、月詠村という村がこの日本列島のとある場所に存在していました。
とてものどかでのんびりとした平和な村でありましたがひとつ。とても大きな問題がぶら下がっていたのであります。
その村は毎回毎回、とある神様に蔵を荒らされ、村人は食われ、散々な目に合う日があるのです。
まんまるな満月の夜に。
しかしあるとき小さな温泉宿の主人が立ち上がったのであります。
温泉宿の主人は神様にこう言いました。
もう村は荒らさないで欲しいのです。その代わり、ここの温泉を好きなだけ使ってください。食事もたんと出しましょう。村のみんなと話し合って神社を建てて祀って差し上げます……と。
それからというもの、村には平和が……。
……え?
神様なんていない?
そんなものは偶像だ?
ハイそうですねと下がるにはちと早い。
もしかするととてもとても、身近な存在なのかも……しれないというのに。
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