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第5話【後輩】
「彰子~。お客さんだよ!それも、【男の子】!!」
女生徒が彰子を呼んだ途端に、クラスが、ざわつき出す。
彰子は、クラス委員長で、【堅物】のイメージが定着していた。
「こんにちは、彰子先輩」
「男の子って、宗佐じゃない。どうしたの?」
「弁当箱を返しにきました」
「一葉に頼めば、良かったのに…。わざわざ、ありがとね。味付けはどうだった?」
「おいしかったですよ」
「そっか。新作料理だったから、ちょっと、自信なかったんだよね…。放課後、暇かな?買い物に付き合ってよ」
「良いですよ」
「じゃ、放課後、玄関前でね」
「はい。失礼します」
宗佐は、彰子に会釈すると、教室に帰って行った。
「ちょっと、ちょっと、彰子~」
「後輩に彼氏なんていたんだ~」
「しかも、お弁当まで、作ってあげるなんて」
教室に戻った、彰子に、同級生からの質問の嵐が迫った。
「別に、宗佐は…ただの後輩よ。妹の同級生だし…。弁当も、妹達のついでよ」
所々、言いよどんでいる彰子に
「なるほど、まずは、心より先に胃袋を掴むわけね」
「じゃあさ、今は餌付けってことだよね?」
クラスが変に納得してしまう結果になってしまった。
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