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第4話【お弁当】
「誰かと一緒に食べるご飯って美味しいんだよ。お前もどうだ?」
親友。【的場宏美(まとばひろみ)】(女)が、彼に向けた言葉だ。
だが、彼は、丁重に断った。
彰子先輩の手料理が楽しみだったからだ。
「お~い、宗佐!【後輩】が呼んでるぞ!」
同級生の声に、
「今、行く」
と、彼は答えて、廊下に出た。
廊下で、待っていたのは、高橋三姉妹の三女。
【高橋エリシア】だった。
「こんにちは!木戸先輩」
「オッス。俺に何か用事?」
「コレを、お姉ちゃんから、預かってきました」
彼女の手には、弁当箱が二つあった。
「お姉ちゃん、急用が出来て、渡しに行けないからって…」
「わざわざ、ありがとな、【エリシア】」
「えっ!?い、いえ…」
急に下の名前で呼ばれたのに驚いたのか、彼女は俯いてしまった。
「じゃ、容器は洗って、先輩に返しておくよ。本当にありがとう」
「どういたしまして」
彼女は、それだけ言うと、自分の教室に戻って行った。
教室に戻って、お手製弁当を食べる、宗佐を同級生達が、恨めしそうに見たのは、言うまでもない。
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