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「ちょっ…ちょっと待ってよ!!不思議の国って何の事なの!?」
「急いで下さい、アリス。少しでも遅れると女王陛下に叱られてしまいますよ」
私の話には全く耳を傾けず、白ウサギは私の腕を掴んだまま更に走るスピードを速めた。何が何だか全くもって理解できない。
どうして私は今、白ウサギに連れられて走っているの?必死に振りほどこうとしてもガッチリ掴まれていて放すことが出来ない。自分の非力さに泣けてきた。
少しすると道路の真ん中に小さな穴があるのが見えた。人一人が通るには十分な大きさだ。
んっ…?穴?白ウサギはさっき何て言っていた?不思議の国へ帰る?童話で白ウサギを追いかけた"アリス"はその後どうなった?
「ちょっと待って…白ウサギ、まさか…」
みるみる顔が青ざめていく。
「さぁ、行きましょうかアリス」
ニッコリ笑う白ウサギ。私の必死の抵抗も虚しいまま、走るスピードをゆるめることなくそのまま小さな穴へと飛び込んだ。
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