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「いま何時?」
全速力で自転車を走らせながら、大樹は時間を気にした。
「8時13分だよ!ギリギリ間に合うかな」
後ろで大樹にしがみつきながら結衣は時計を確認していた。
「間に合う!」
そう言いながら、大樹はスピードを上げた。
突然、結衣の実況中継的な発言が始まった。
「あとこのコーナーを曲がると学校です!大樹選手、がんばってください」
「大樹くんガンバレー」
声色を変えながら、呑気に登校を楽しむ結衣の声が背中から聞こえて力が抜ける。
「なんだそりゃー」
思わず大樹は吹き出した。
全速力で自転車をこぐと、朝の風が心地よい。
(今日も平和だな…)
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