《第1章》気づき

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「いま何時?」 全速力で自転車を走らせながら、大樹は時間を気にした。 「8時13分だよ!ギリギリ間に合うかな」 後ろで大樹にしがみつきながら結衣は時計を確認していた。 「間に合う!」 そう言いながら、大樹はスピードを上げた。 突然、結衣の実況中継的な発言が始まった。 「あとこのコーナーを曲がると学校です!大樹選手、がんばってください」 「大樹くんガンバレー」 声色を変えながら、呑気に登校を楽しむ結衣の声が背中から聞こえて力が抜ける。 「なんだそりゃー」 思わず大樹は吹き出した。 全速力で自転車をこぐと、朝の風が心地よい。 (今日も平和だな…)
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