分岐点

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「美晴は運動得意じゃないか。なぜ、保健係なんか?」 「どこかの誰かさんが寂しくて泣かないようによ。」 「それはそれはありがたいね。」 僕も美晴を真似てなるべく皮肉っぽく言ってやった。「あらあら、強いこと言っちゃって。ニュースを見てた時とは大違いね。」 確かに僕は変わった。内向的だった僕を美晴が自分という殻の中から導き出してくれたのだ。 「それは喜んでいいのかな?それとも怒るところ?」 「素直に喜んでなさい。」僕は自分にできる最大限の笑顔を美晴に向けた。また、美晴も笑顔を返してくれた。 30歳になった今考えてみるとあの時、雨が降っていなくて、美晴が自習室に来なかったら…。美晴が僕に話しかけてこなかったら…。僕が文系に移っていなかったら…。考えただけでゾッとする。美晴に出会ってあの時間を一緒に過ごして居なければ今の僕はここにはいないんだから…。
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