5人が本棚に入れています
本棚に追加
/25ページ
僕もつられて笑ってしまった。すると美晴は
「なかなか失礼ね」と皮肉っぽくいった。
「本当はどうなの?」
「そうね、私は学校の先生になりたいわ。小学校なんかいいわね。」
「うん、星野さんにはぴったりだ。」
「その星野さんて言うのやめてくれるかな。なんとなく、くすぐったいわ。美晴って呼んでくれる?」
僕は戸惑いながらも頷いた。
「じゃあ練習ね。さぁ、呼んでみて。」
「…美晴さん。」
「聞こえないわ。」
「美晴。」
「何?」
僕は自分でも顔が赤くなったのがわかった。
「あら、紅葉の季節はまだ早いわよ。」
僕たちは顔を見合わせて笑いあった。
どうやら、僕は美晴のおかげで徐々に蟻の行列に戻れそうに感じた。
最初のコメントを投稿しよう!