現在進行中に俺には家がない

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「プライドなんてある訳ねぇだろ。そんなもんとっくに焼却処分されてるよ。さもなきゃ、今みたいなみっともない生活しないっつーの」  正しくみっともない生活してるからな。プライドなんて大仰な物の所持を許されているわけがない。 「ぷっ! 知ってるわよ。だから、わざわざ言ってるんだから。その惨めな姿を見るのが楽しいのよ」  くそっ! この女………。  良い笑顔見せやがって! 可愛いなぁ、おい! 「チッ、俺はもう行くからな。無理しないように頑張れよ、この馬鹿野郎!」  俺は捨て台詞を残して、ソファーから立ち上がる。 「バイバイ、私の電話には五秒以内に出るのよ。出なかったら、お小使い減らすからね」  コイツは、笑顔のままにそう言った。  結構難しいんだぞ? それ。
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