そんなことより

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燃えていた、パチパチと音を立てて。 なぜこうなったのか、自分でも全く見当がつかない。 別に、仏像の絵を描きたいがために妻子を残して家を焼いてみたわけではないが、目の前で燃えている。 「なんじゃこりゃぁぁぁッ!?」 テリーは卒業証書を持ったまま頭を抱えた。 それは、テリーが卒業証書を受け取って直帰したら人だかりが出来ていたので寄ってみると、その先に自分の家があったのだ。 かつての面影など微塵もない。 配属先からの迎えが来るまでに1週間はあるらしい。それまでどうするのか。 残ったのは、寝間着の上とズボンと卒業証書といつも着けている手袋。 家の中の剣くらいは焼け残るかもしれないが、鞘は燃えるだろうからどのみち使い物にならない。
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