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「……ん」
無だった意識が色を帯びてくる、目をこすり、体を動かす。
…痛くない。
痺れてるが動かせないことはない、ひんやりとした床をつかむこともできる。
少年は、体を起こそうと腕を動かした、なかなか力が入らないが何とか頭をあげることができた、同時に襲うめまいに頭を押さえる。
ふと、何か少年は感じた。
「……⁉」
足元に何かいる、もぞもぞと動く黒い固まりに声にならない叫び声を上げる。
「…ん…」
口を押さえ声を上げないようにしながら、黒い何かを見つめる。
「……ぇ…?」
思わず声を出してしまった、黒の隙間から見えるものがあったのだ、銀色の髪とその奥には深紅の瞳、眠る前にみた少女の物だった。
「…起きたのね」
もぞもぞと頭にかぶっていた黒いマントをはずし髪の毛をととのえながら、ゆっくりとした眠そうな声をだした。
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