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「きっとフィオナは今回の廃屋の“今は亡きじいちゃん”だぜ絶対。そうに決まってる!」
「えぇ~? フィオナって女の名前だよ? ジジイがフィオナなんってぜぇ~~~ったい、やだ」
「いいじゃんかよ、もしかすると――――」
なんで、
何でそこまで夢中になれるの?
だって、フィオナなんていう神は存在しないんだよ?
神自体、いるかどうかなんてわかりきっているじゃない。
なのにどうして?
本当かどうかわからないんだよ?
そうやって御託を並べていても、実際に目撃したっていっても、それが本当にフィオナなの? どうなって立証したの?
骨が折れたとか、運が奪われたとか、どうしてそれがフィオナの仕業だって言えるの?
誰も、真実を確かめたりしてないよね? 皆、恐がって廃屋になんて近寄りすらしないよね?
なのに、なんで本当かのようにベラベラ話すの? 根拠もないのに、何で?
そんなの、フィオナなんてこの世には、
「フィオナなんて――」
「はっ、下らねぇ」
私が朦朧(もうろう)とした意識の中で、今まで黙ってきた事を口に出そうとした途端、私の口以外から、何かを否定する言葉が出てきた。何かを否定する言葉。
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