序章『フィオナは見事に学校を支配した』

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 『フィオナ』は、廃屋に降臨する神である。だが神というより、学校を賑やかにさせる一つのネタと言った方が的確なのかもしれない。  実際に学校はフィオナの話しで支配しつくされている訳だし、このままいけば都市伝説になるかもしれない。  それほどまでにフィオナの存在は強烈で、魅力的なのだ。  フィオナは出くわす人々に、時には富を与え、時には病を与え、時には奪う。それが本当ならとんでもない神だ。気まぐれの化身なのではないかと疑いたくなる。  中でも一番有力なのは、フィオナに出会った者は、神隠しにあう。という説が一番有力となっている。どのみち、証明しようのない話だ。  そんなこんなで空想の神様は今や学校全体に響きわたり、誰も空き家に近づこうとはしない。きっと神隠しにあいたくないのだろう。空想に怯えるその姿は“哀れ”その物だ。  だが、確かにフィオナには、それだけの圧倒的な存在感があるのだ。   ◇  ◇  ◇  ◇
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