一話『ナオトとハルナの神探し』

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 何故だかは未だ検討もつかないが、ずっとフィオナがこの学校の話題を支配しているのは確かだ。  創立以来、ずっとずっと。 「今度は三丁目のあの古ぼけた廃屋で目撃されたんだってさ!」  私が入学してからずっと、フィオナ。 「マジ!? 三丁目の廃屋って、あの遊び人の家でしょ? うわぁ……フィオナって悪趣味な神なのかもね。あたし、フィオナには絶対会いたくないな~」  存在などしない、神様話しで友達は皆握り潰されている。  他の話題についてなんて、ひとっこひとつ、触れたりなどしない。余談もなく、ただフィオナ一色をベタベタと塗りたくっている。  そうして、形なきフィオナの想像図が、皆の頭の中でどんどん、どんどんと実物と化してゆく。  私は馬鹿げた話でもいい。本当にたわいも無い、笑いようもない内容でも、この際下ネタでもなんだっていい、日常的な、ありきたりな 話しがしたいのだ。  何で皆がそこまでして架空に執着しているのか全く分からない。理解できない。なんでそこまでフィオナに魅了されているのか、全然分 からない。皆心の中では、存在しない、とわかっているはずなのに、何でそこまで熱心に語れるのか、  私には、分からない。
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