13人が本棚に入れています
本棚に追加
/21ページ
何故だかは未だ検討もつかないが、ずっとフィオナがこの学校の話題を支配しているのは確かだ。
創立以来、ずっとずっと。
「今度は三丁目のあの古ぼけた廃屋で目撃されたんだってさ!」
私が入学してからずっと、フィオナ。
「マジ!? 三丁目の廃屋って、あの遊び人の家でしょ? うわぁ……フィオナって悪趣味な神なのかもね。あたし、フィオナには絶対会いたくないな~」
存在などしない、神様話しで友達は皆握り潰されている。
他の話題についてなんて、ひとっこひとつ、触れたりなどしない。余談もなく、ただフィオナ一色をベタベタと塗りたくっている。
そうして、形なきフィオナの想像図が、皆の頭の中でどんどん、どんどんと実物と化してゆく。
私は馬鹿げた話でもいい。本当にたわいも無い、笑いようもない内容でも、この際下ネタでもなんだっていい、日常的な、ありきたりな 話しがしたいのだ。
何で皆がそこまでして架空に執着しているのか全く分からない。理解できない。なんでそこまでフィオナに魅了されているのか、全然分 からない。皆心の中では、存在しない、とわかっているはずなのに、何でそこまで熱心に語れるのか、
私には、分からない。
最初のコメントを投稿しよう!