一話『ナオトとハルナの神探し』

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「でさ、今回は一体何が起きたの? 財宝ゲット? 難病克服? ロトsevenの一等クジ? それとも神隠し?」  私の後ろにいた女子が、私の肩にのしかかる形で前へと乗り出してきた。痛い。肩がミシリと唸った気がする。 「それがさ、今回は何と工事中のマンホールの穴に落ちたんだってさ。フィオナに運気でも奪われちまたんじゃね~の?」  たわいもない予想にクラスの皆が大爆笑する。私の肩にのしかかる女子も、はしたなくゲラゲラと口を裂いて大笑いしている。中には机をバンバンと叩きながら激しく腹を押さえている者までいる。そんな彼らを見ても、私にはどうしても笑うことなど、できない。 「恐えぇ! 俺も○んち取られちまうのかも!?」 「うわっ、汚ねぇこと言うなよ!」 「でもさ、前の目撃者は自転車ごと電柱にぶつかって、腕の骨折ったんでしょ? フィオナって本当に恐いね。もし、たまたま廃屋の前を通ってさ、フィオナの姿を見たらどうしよ……。こんどこそ、命を落す一例が挙げられちゃうかも」 「馬鹿、いくらなんでもそんなことねえよ」 「でもフィオナのことだからきっと今度こそ本当に……」 「フィ、フィオナ恐い!」
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