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「おかえりなさいませ。天野様。」
「え?」
「朝帰りですね?お元気ですね。」
「今日は5日分でお願いします。」
「…。命はあまり無駄遣いするものではありませんよ?」
「無駄?長い一生のうちのたった何日かを好きな人のために使うの。ただそれだけです。」
私は、二日酔いのせいもあってイライラしていた。
「…ですが、もう少し…日数を減らしては…?」
私は嫌な予感がした。
「ねぇ。始めてここに来た時に、一生分の査定額教えてくれるって言ってましたよね?あといくら分あるんですか?私の命。」
「お調べいたしましょうか?」
「…お願いします。」
執事は調べると言いながらもすでに答えを知っているようだった。
「お答えいたします。金額で申し上げましょう。750万円でございます。」
「え?」
私は耳を疑った。
―3日…?―
「残る一生を大事に過ごされてはいかがでしょうか?」
「…そう、します……。」
私はそのまま家によたよたと家に帰った。
―3日って?死因は何?事故?病気?いや、春の健康診断は大丈夫だった。血筋にガンもいない。じゃあ、事故?だったら3日間家で安全に過ごせば…―
私は、3日間バイトを休むことにした。
そして食事も喉を通らない気分だったのでテレビを見ながらずっと布団の中で過ごしていた。
1日、2日、私は何の異常もなく生きていた。ほとんどご飯を食べなかったぶん、少し痩せた気もするけれど、餓死するような痩せ型では絶対ないから大丈夫。
ついに、3日目が訪れた。
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