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知らない通りに出でしまった。―迷ったらどうしよ。―
そんなことを心配しながらも私は好奇心で進み続けた。
人通りが極端に少なく、遠くにポツポツと人影が見える程度のこの通り。
ここでプレゼントに良いお店を見つけたら、かなり彼の気を引くことができる。
メンズのショップがなかなかない。
宝石店とか、外国ブランドのショップとか、セレブな人が通いそうなお店が
ずらりと並んでいる。
ぶらぶらと歩き回っていると、
「超高価買取」
とだけ書いてある看板を見つけた。
―超?―
ショーウィンドウもなく、長めののれんがかかっているので中の様子がよくわからない。
質屋だということはなんとなく予想がついた。
私は「超」に惹かれてのれんをくぐった。
執事風な紳士がアンティークのテーブルで優雅にお茶を飲んでいた。
「いらっしゃいませ。」
‘執事’はカタンとティーカップを置いた。
私はあたりを見渡した。特に鞄やアクセサリーが並んでいるでも、珍品が置かれているわけでもない。陶器もアンティークも絵もない。奥の棚にファイルが並んでいるだけだった。
「…あの、ここは、質屋さんか何かですか?」
「質屋…。そう見えますか?」
「違うんですか?」
「こちらが買い取りますのは、1つだけでございます。」
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