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すぐに執事は奥の部屋から出てきた。
「では、こちらの契約用紙にサインと…」
と言いながら私の目の前に用紙を置いた。
「血液を1滴。」
「血液?!!」
「あ、大袈裟なものではございません。ほらよく、糖尿病の患者様の血糖値を測る機械を使うときに、機械の先についた針でプツンと少量の血液を採取するでしょう?その程度で構わないのです。」
と言ってまさにその機械を私に手渡した。
「イテ…」
私の指先には小さな血液の滴が乗っていた。
「では、その指先を用紙のこちらに…」
私は執事の話を聞きながら、しっかりとその用紙を読み込んだので、執事に誘導されるままに指先を用紙にあてた。
―血の契約ってわけか。テレビの世界みたい…―
「はい。ありがとうございます。ではこちらのご確認を…」
と言いながら執事は1万円札の束を私の前に並べた。
私は、パラパラと枚数を数えた。
「…たしかに250万円あります。」
「1日分の命、たしかにちょうだい致しました。ちなみに、今回の査定額は今後とも同額でございます。」
「…あ、はい。」
あっけなく私は大金を手にしてしまった。
私は、鞄に入った250万円のうち、50万円ほどをサイフに入れて残りは鞄の奥底にかくすようにしまった。
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