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そんな旦那様の言葉に俺は持っていたティーポットを置き、淡い笑みを浮かべながら頷いた。
「はい、おっしゃる通りよくお似合いでございます。」
「あなたも何回目よ……でも、ありがとう。」
いつも通り話を振られいつも通りの答えを返す俺に、まりえは呆れたように言う。
しかし似合うと言われたことはまんざらでもないようで、まりえは恥ずかしそうな笑みを浮かべていた。
旦那様はそんなほほえましい二人を見ながら、幸せそうに笑っている。
だが朝食をまだ食べていないことを思い出したのか、急いでナイフとフォークを持つ。
「そういえば、悠長にしている時間はなかったのだったな。
まりえ、早くしないと学校に遅れるぞ?」
「あら、そうでした。」
「では、お車の準備をしてまいります。」
思い出したように料理を口に運ぶまりえたちに一礼をし、すっと扉の前に移動する。
「待ちなさい、鷹夜。」
しかし車庫に向かおうとした俺を、食事中の旦那様が止めた。
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