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「本当に、珍しくお父様から何も聞いていないのね。」
「はい……いまだに、何故学園に通えと言われたのかわかりません。」
お嬢様の嘆息混じりの言葉に、俺も困ったように息をついた。
それもそのはず。
俺は一応執事としてお嬢様たちのお世話をしているが、執事と兼任で旦那様の秘書もしている。
そのような立場であるため、何かあれば必ず旦那様から話がきたはず。
しかしその話は、お嬢様が登校するギリギリの時に伝えられた。
旦那様の几帳面な性格もあり、普通なら事前に話がくるはずなのに。
そんな旦那様の性格を知っているお嬢様が珍しいと言うくらいなのだから、余程のことである。
「まぁ何となくですけど、旦那様が考えていたことはわかります。」
「奇遇ね……私も何となくだけど、お父様が考えていたことがわかるわ。」
俺の少し疲れたような顔を見ながら、お嬢様は同情的な顔で頷いた。
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