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昔は出来たことなのに、何と歯痒いことか。
ビシリと言いきった学長にどこか付け入る隙があるわけもなく、俺は仕方なく渋面のままため息をついた。
そんな俺を気にしながら、学長が再び口を開く。
「女子生徒の拉致未遂など、学園始まって以来の事件でした。
私たち教職員がいながらそのような事件を起こしてしまったこと、本当に申し訳なく思っています。」
そう言って学長は悔しそうな顔をし、俺に対して深々と頭を下げる。
こちらとしては自分に謝られてもという考えだったが、真摯に謝る学長に何も言えなかった。
「この事件を起こした数人の男子生徒に関しては、退学という形をとりました。
そしてこの事件の教訓といってはなんですが、今は対策をたてています。
今後このような事態にならないよう抑止効果を狙い、学内の至る所に監視カメラを設置しました。
それと……」
「わかりました。」
あの事件から学園の防犯設置についての話を延々と聞かされそうな気配を感じ、慌てて学長の口を封じる。
「学園のセキュリティについては、よくわかりましたから……とりあえず、お嬢様は大丈夫なんですね?」
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